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幸せな老後の生きがい~家族による支援方法

kurashino

長寿社会となり、誰もが生きがいを持って、いつまでも元気に過ごしたいと考えています。
しかし、高齢者になり年齢を重ねていくにつれて、健康に対する不安が大きくなっていきます。

厚生労働省「高齢社会に関する意識調査(2016年)」の情報を基に作図

上記のとおり、「健康上の問題」は、老後の人生において大きな不安要素になっていることは間違いありません。また、二番目に多い「経済上の問題」についても、健康問題と密接に関係していることが考えられます。

わが国は世界有数の長寿国ですが、大事なことは、健康で、生きがいを持って、豊かな生活をすることではないでしょうか。

また、次の調査を見ると、多くの人が「教養・趣味を高めること」「子どもや孫の成長」「友人や地域の人との交流」、そして「家族との団らん」などを老後の生きがいとして求めていることが分かります。しかし、これらも健康でなければ、実現が難しい場合もあるでしょう。

厚生労働省「平成24年 高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書」の情報を基に作図

わたしはケアマネジャーとして高齢者や家族と関わる中で、高齢者が持っている気持ちを引き出し、できる限り生きがいを持って生活できるように工夫してきました。
その経験から、高齢者はどのような老後生活を送りたいと考えているか、なぜその生活が実現できないのか、また家族ができる支援方法は何かなど、詳しくお伝えしていきます。

老後はどのようなことに生きがいを感じるのか

冒頭で紹介した図のうち、「60~69歳」「70歳以上」の数値を抜き出したのが、以下の表です。

年齢階級別にみた老後の生きがい
(複数回答)

全年代

60~69歳

70歳以上

働くこと

19.1%

23.2%

22.0%

学ぶこと

13.7%

15.8%

12.7%

家族との団らん

35.7%

31.2%

33.9%

子どもや孫の成長

43.0%

41.8%

40.0%

友人や地域の人との交流

33.2%

36.9%

39.2%

地域活動への参加

8.0%

6.8%

13.0%

社会奉仕活動への参加

10.8%

14.0%

8.4%

スポーツをすること

12.3%

15.3%

10.2%

教養・趣味を高めること

46.5%

44.5%

32.8%

厚生労働省「平成24年 高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書」の情報を基に作表

こちらを見ると、60歳以上では、全年代と比較して「友人や地域の人との交流」「働くこと」「学ぶこと」の意欲の高いことが分かります。社会参加への意欲や生涯学習への取り組みが、自分自身の生きがいになると考えていることが伝わってきます。

国が推奨している高齢化社会における社会参加と生涯学習

日本は、国を挙げて高齢者の社会参加を推進しています。自治体主導となったコミュニティスペースの整備やプログラムの実施が盛んなことは、皆さんもご存じのとおりです。これらは、高齢者の孤独死等が社会問題化していることが背景にあります。

文部科学省もまた、「超高齢化社会において、学びに取り組むことはとても大事なこと」として、生涯学習のあり方について議論を続けており、大学や教育委員会、地縁組織などと連携を図りながら、学習の機会をどんどん整備しています。(※1)

これらの取り組みは、からだの自由が利かなくなってきた両親に生きがいを贈るための、ヒントになるものではないでしょうか。

社会参加したいのに、できていない実態

では、実際のところ、高齢者の社会活動の状況はどうなっているのでしょうか。厚生労働省の資料によると、就労をはじめ何らかの社会参加を行っている60代の高齢者は7割に上る者の、これが70歳以上になると、半数に満たなくなるまで下がることが分かります。

内閣府「令和元年版 高齢社会白書」の情報を基に作図

また、内閣府の調査では、この1年のうちに何かしらを学んだことのある60代は55%、70歳以上は42.5%という結果が出ています。

内閣府「令和元年版 高齢社会白書」の情報を基に作図

以上から、社会活動、学習ともに、必ずしも誰もが行っているとは言えないことが分かります。しかし、社会と接点を持つことは日々の活力を生んでいます。実際に社会活動に参加している人は、「新しい友人を得ることができた」「地域に安心して生活するためのつながりができた」とプラスの効果を得ているようです。

内閣府「平成25年度 高齢者の地域社会への参加に関する意識調査結果(概要版)2 社会的な活動をしていてよかったこと(図1-2-3-3)」の情報を基に作図

幸せな第三の生活のためには、社会参加や生涯学習への取り組みが重要なポイントであると言っても過言ではないでしょう。

両親に生きがいを贈る方法

ここでは、「社会活動に参加したい」「いつまでも学び続けたい」という高齢者を支援していくための3つのポイントをまとめました。

1.生きがいを感じられる場の提供

国や自治体は、地域活性化を目的に、さまざまな学習の場を設ける取り組みを積極的に行っています。たとえば東京都港区においては、「チャレンジコミュニティ大学」と称する講座を開講しており、「共に手を組みシニアの手で港区をもっと元気に住みやすい町にしよう」という理念のもと、地域活動のリーダーを育成しています。

また、近年はインターネット通信が発達していることもあり、自宅でも学ぶことができるようになりました。兵庫県西宮市においては、「西宮市生涯学習大学ラジオ講座」が開催されており、FMラジオだけではなくインターネットを利用した学びの場を提供しています。健康不安があり、外出することをためらう高齢者なら、このような講座を受講してみることもひとつです。

2.社会とのつながることによる孤立の防止

高齢者が社会参加活動として参加したい団体や実際に参加している団体は下記の通りです。趣味や地域に関すること、そしてボランティア活動に参加する人が多いことが見受けられます。

内閣府「平成29年版高齢社会白書(概要版)|高齢者の社会参加活動」の情報を基に作図

現在、社会活動をしていない高齢者もまた、何らかの生きがいを社会活動によって見出したいと考えています。しかし、なかには、参加できる活動にどのようなものがあるのか知らない人もいることでしょう。この場合、ご家族がこれらの情報を提供することも生きがい支援のひとつです。

3.健康の維持向上・介護予防

厚生労働省では「介護予防」に積極的に取り組んでいます。もちろん介護保険制度においては、介護や支援が必要な高齢者に対して心身の機能維持や向上のためにさまざまなサービスが行われています。

また、介護が必要ないという高齢者のためには「通いの場」づくり(※2)が盛んです。
通いの場とは、週1回以上継続してトレーニングができるように集える場のことで、各自治体などが中心となり開催されています。利用者からは「腰痛や膝痛が楽になった」「仲間ができた」「集まる場所ができて嬉しい」という声を聞くことができます。
このようなトレーニングは、ひとりではなかなか続けることができませんので、地域で開催されているものに参加してみるといいでしょう。

まとめ

高齢者の多くは老後の生活において、「友人や地域の人との交流」「教養・趣味を高めること」「働くこと」「地域活動への参加」などによって生きがいを感じたいと考えています。
ただし、健康や経済に対する不安が高くなってきますので、なかなか思うように社会参加や生涯学習に取り組めていないことも知られています。また、参加したいと思っていても、地域でどのような活動が行われているのか、情報を得ることができないケースも多いでしょう。

関わる家族が親のために生きがいを贈りたいと考えるのであれば、地域でどのような活動が行われているのかを調べてみてはいかがでしょうか。必要に応じて手続きを行ったり、ときに送迎を引き受けたりすれば、喜んで生きがいを見つけてくれることでしょう。

ケアマネジャーとして高齢者や家族と関わると、高齢者の本当の思いと家族の思いの違いを感じられる場面が少なくありません。
高齢期は「第三の生活」と言われ、人生の締めくくりの時期ですから、できる限り、生きがいに沿った支援が必要だと考えています。特にからだが十分に動かない両親に対しては、健康の不安を取り除くことをはじめ、自分自身が主体的に生活できる「居場所づくり」が重要です。
ケアマネジャーなど福祉のスタッフとも相談しながら、主体的な生活ができるよう工夫することが大事です。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※1 文部科学省「長寿社会における生涯学習の在り方について」
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2012/03/28/1319112_1.pdf

※2 厚生労働省「地域づくりによる介護予防を推進するための手引き」P2
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/hukyuutenkai.pdf

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