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介護施設の選び方~種類や特徴、費用について

kurashino

介護保険制度が普及するにつれて、高齢者が入居することができる施設の数はどんどん増えています。

厚生労働省「施設・居住系サービスについて|高齢者向け住まい・施設数の定員数」の情報を基に作図

これは、施設などで老後の安心した暮らしを望む人が多いことも理由の一つと考えられます。なお、介護療養型医療施設は、2024年に設置期限を迎えます。今後は、介護医療院に転換する施設が期待されています。(※1)

高齢者の暮らす施設には介護保険施設をはじめ、さまざまです。また、介護保険施設にも「特別養護老人ホーム」や「老人保健施設」があり、有料老人ホームにも「介護付き」「住宅型」などに分けられます。しかし、その違いが分からず、どの施設を選べばよいのか分からないという方が多いのではないでしょうか。

中には急いで入居する施設を決めてしまい、「思っていたところと違った」「自宅のほうがいい」と後悔している声もあるようです。費用をしっかり把握しないまま入居し、入居費用でトラブルになったという話も後を絶ちません。

私はケアマネジャーとして高齢者や家族と関わるなか、さまざまな施設への入居に関わってきました。その経験から高齢者施設の特徴、費用の軽減制度、施設の選び方を詳しくお伝えしていきます。

高齢者施設の種類や特徴、その費用について

高齢者が入居できる施設について知るためには、まず「介護保険施設」と「その他施設」に分けて考えると理解しやすくなります。

介護保険施設の種類や特徴、その費用について

介護保険施設

特別養護老人ホーム

介護老人保健施設

介護療養型医療施設

入居対象

要介護3~5(原則)

要介護1~5

要介護1~5

施設の特徴

  • 介護が必要で在宅での生活が難しい高齢者が入居できる。
  • ユニット型と従来型の2種類が存在する。
  • 介護が必要でリハビリ等が必要な高齢者が入居できる。
  • 理学療法士などリハビリスタッフが多く配置されている
  • 療養上の管理が必要な高齢者が入居できる。
  • 看護師など医療スタッフが多く配置されている。

料金の目安

  • 低~中
  • 負担割合や要介護度によって決定
  • 低~中
  • 負担割合や要介護度によって決定
  • 低~中
  • 負担割合や要介護度によって決定

医師の配置

必要数(非常勤可)

常勤でひとり以上
利用者との割合
100:1以上

常勤で3人以上
利用者との割合
48:1以上

厚生労働省「施設・居住系サービスについて|介護保険3施設の概要」を基に作表

介護保険施設には、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」の3つに大別されます。これらは、介護保険を利用したサービスを受けることができるため、比較的安価であることが特徴です。

1.特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、介護保険において「介護老人福祉施設」と呼ばれることもあり、高齢者向けの住まいの中ではもっとも定員数が多い施設です。(※2)
在宅生活を続けられない介護が必要な高齢者が入居できる施設で、食事や入浴など必要な介護を受けながら生活することができます。
医師や看護師といった医療スタッフも配置されているので、健康管理に努めながら生活することも可能です。

なお、特別養護老人ホームは、「ユニット型」と呼ばれる完全個室施設と、「従来型」と呼ばれる多床室施設の2種類に分けられます。

費用は、ユニット型で7~15万円程度、従来型で5~10万程度となっており、収入に応じて軽減措置を受けることも可能です。部屋のタイプや要介護度、所得区分によって費用は異なりますが、自己負担の目安としては次のようになっています。

厚生労働省「サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」の情報を基に作図

2.介護老人保健施設

介護老人保健施設は、在宅に暮らす高齢者が、在宅で生活を継続するために必要なリハビリを受けることができます。(※3)
たとえば、長期にわたる入院生活をベッドの上で過ごした結果、下肢筋力が低下し歩行が難しくなることがあります。そのような場合に数カ月程度入居することができ、専門的なリハビリテーションを受けることによって在宅に戻ることができます。
このような機能から病院と在宅の「中間施設」としての役割を持っています。ただしいつまでも在宅に戻れずに入居生活が長くなっている高齢者も少なくありません。(※4)

費用の相場は個室と多床室によっても変わりますが、7~15万円となっており、収入に応じて軽減措置を受けることも可能です。

3.介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、医療法人などが運営する施設で、介護や医療処置が必要な高齢者が入居できる施設です。(※5)

慢性的な医学的管理が必要、かつ高齢者施設に入居できない場合であっても、医師や看護師の管理のもとで生活することが可能です。ただし、現在は、介護医療院に転換する施設が増えています。

費用は個室と多床室によっても変わりますが、おおよそ9~20万円程度。収入に応じて軽減措置を受けることも可能です。

その他の高齢者施設の特徴、その費用について

介護施設

有料老人ホーム

サービス付き高齢者向け住宅

介護付き

住宅型

入居対象

自立~要介護5

自立~要介護5

自立~要介護5

施設の特徴

  • 介護が必要な高齢者だけでなく入居できる。
    ※施設によって入居条件あり。
  • スタッフから介護を受けられる一般型と外部サービス利用型の2種類が存在する。
  • 食事や洗濯など生活支援を受けることができる。
  • 介護が必要になった場合には外部の介護サービスを利用しながら生活することができる。
  • 主に自立度の高い高齢者がスタッフからの見守りを受けながら生活する。
  • 介護が必要となった場合、外部サービスを利用することができる。

料金の目安

  • 中~高
  • 初期費用と月額費用(利用料+介護サービス費+諸費用)
  • 中~高
  • 初期費用と月額費用(利用料+介護サービス費+諸費用)
  • 低~高
  • 入居一時金と月額費用(家賃+管理費+食費+介護サービス費+諸費用)

厚生労働省「施設・居住系サービスについて|高齢者向け住まい」の情報を基に作表

「その他の施設」はさまざまですが、その中でも高齢者の利用が多い「有料老人ホーム」と「サービス付き高齢者向け住宅」をご紹介します。
一言で説明すれば、「有料老人ホーム」は老人ホーム、「サービス付き高齢者向け住宅」は賃貸住宅です。

1.有料老人ホーム

有料老人ホームは「介護付き」「住宅型」に分けることができます。(※6)
「介護付き」は介護に特化した施設ですので、機能として介護保険施設の「特別養護老人ホーム」に似ており、介護を受けながら生活することが可能です。

介護付きはさらに、「一般型」と「外部サービス利用型」に分けることができます。
「一般型」は介護保険制度の「特定施設入所者生活介護」の指定を受けており、有料老人ホームの職員から介護を受けられます。(※6)
「外部サービス利用型」もまた、「特定施設入所者生活介護」の指定を受けていますが、こちらは有料老人ホームのスタッフによるサービスではなく、外部の介護サービス事業所が担います。(※6)

費用の相場は施設によって大きな違いがあり、10万円台のものもあれば、数十万円かかる高額な施設まで存在します。

2.サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が入居できる住まいです。バリアフリー構造で住みやすいしつらえのなか、スタッフの見守りを受けながら生活することができます。(※7)
介護が必要となった場合には、外部の介護サービスを利用することができます。
費用の相場は施設によっても大きな違いがあり、10万円程度から数十万円程度の高額な施設も存在します。

高齢者施設で受けられる費用軽減措置

介護保険を利用すれば、費用の負担は1~3割で済みます。とはいえ、継続した利用であれば家計費に大きな影響を与えることは間違いありません。一定の要件に当てはまれば利用できる、下記の制度についてお伝えします。

1.高額介護サービス費支給制度

高額介護サービス費とは、高齢者施設において介護保険サービスを利用していて、一定額を超える費用負担があった場合に、超過分を支給される制度です。
下記の表のとおり、月額の超過分を市区町村窓口に申請すれば、誰でも受けることができますが、申請の際には、高齢者施設での支払いを証明する領収書等を提出する必要があります。また、医療保険にも自己負担が生じている場合には、その費用も合算して計算することができます。(※8)

厚生労働省「サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」の情報を基に作表

2.利用者負担額の軽減制度

介護保険施設を利用するにあたって、低所得者に大きな負担とならないように所得に応じ4つに区分されています。利用者は、区分によって居住費と食費の負担額が軽減されることになります。

厚生労働省「サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」の情報を基に作表

なお、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設の利用料は、次のように定められています。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人保健施設、介護療養型医療施設

厚生労働省「サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」の情報を基に作表

介護保険負担限度額認定証の申請については、入居する施設の生活相談員や担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、市区町村の窓口に相談するとよいでしょう。(※8)

3.社会福祉法人等による利用者負担軽減制度

「社会福祉法人等による利用者負担軽減制度」とは、生活保護受給者等の低所得者でもユニット型施設に入居できるように、施設を運営する社会福祉法人が一定の負担を行う制度です。

たとえば特別養護老人ホームのユニット型個室の場合、負担限度額認定において第一段階となり費用軽減を受けられたとしても、食費1日300円、居住費1日490円の負担となります。さらに介護サービス費の1割を負担しなければならないこともありますので、費用負担によっては、入居が難しい高齢者も存在します。

社会福祉法人によっては、この利用者負担軽減制度を導入している施設もありますので、相談してみるといいでしょう。

4.その他 公共の制度

その他にも市区町村の制度で、介護に対する助成が行われています。たとえば、「家族介護慰労金」は、各市区町村が行っている制度で、一定の介護度以上の低所得者高齢者を介護している家族に対して支給される助成金です。たとえば、新宿区においては、年額10万円の支給が行われています。

「介護保険ホームヘルプサービス等利用者負担の助成」は、低所得者の訪問介護サービスの利用を促進させるための制度で、利用者負担の助成を行っています。

いずれの制度においても申請や申請条件については各市区町村窓口に相談してください。

【目的別】高齢者施設の選び方

高齢者施設には多くの種類があるため、一般の人にとっては、どの施設にすればいいのかまったく分からないことでしょう。
私たちケアマネジャーは利用される高齢者が持っている条件に応じた施設を探すようにしています。そのため、施設に入居する目的を持っておき、コスト面だけではなく、その目的に応じた施設を探すといいでしょう。

検討すべき目的としては、次のものが挙げられます。

  • コスト
  • 場所
  • 入居のしやすさ
  • 終身利用
  • 入居者の心身の状態
  • 入居者のライフスタイル
  • タイミング

項目ごとに、それぞれ見ていきましょう。

・コスト

介護保険施設

特別養護老人ホーム

介護老人保健施設

介護療養型医療施設

料金の目安

  • 低~中
  • 負担割合や要介護度によって決定
  • 低~中
  • 負担割合や要介護度によって決定
  • 低~中
  • 負担割合や要介護度によって決定

厚生労働省「施設・居住系サービスについて」の情報を基に作表

負担軽減措置を受けることで、低所得者層も入居できます。入居を希望する場合には担当の介護支援専門員や地域包括支援センターに相談することをおすすめします。

・場所

最近は、地域密着型施設が増えています。お住まいの地域においても見つけることができるでしょう。

・入居のしやすさ

少々検討が必要です。特に特別養護老人ホームは人気のため、申し込み後に入居待機している高齢者が全国で29万5千人いることが分かっています。(※9)
入居が実現するまでには、膨大な時間がかかることを念頭に置いておく必要があると言えるでしょう。

・終身利用

高齢者施設を「終(つい)の棲家(すみか)」と捉える場合、終身利用できるかどうかが気になる部分になります。看取りまで行う施設は多いですが、施設のタイプによっては状況に応じ病院に搬送することもありますし、要介護となった時点で退所しなければならないこともあります。
利用トラブルを起こさないためにも、終身利用できるのかどうかをはじめ、病気になった場合、介護が必要になった場合の対応も確認しておくことが大事です。

・入居者の心身の状態

施設のタイプによって異なります。特別養護老人ホームでは原則要介護3以上でなければ入居はできませんし、サービス付き高齢者向け住宅であれば自立した高齢者のみになることも。このような違いについても、しっかりと確認しておく必要があります。

・入居者のライフスタイル

まずは、各施設で、入居者がどのように過ごすことができるのかを確認しておくとよいでしょう。介護保険施設の場合、介護やリハビリなどをしっかり受けることができる一方、自由に外出できなかったり、決められた食事を食べなければならなかったりなどの制限を設けている場合があります。

また、サービス付き高齢者向け住宅では、自由に外出したり、仕事に出かけたりする高齢者もおられます。

自分がその高齢者施設でどのように過ごしたいのか考えておくことが大事になってきます。

・タイミング

これはとても大事なポイントです。厚生労働省の調べでは、高齢者の9割は在宅で暮らしており、要介護状態になったとしても約8割は在宅のままです。(※10)
在宅で暮らし続けたい高齢者が非常に多い現状が理解できると思います。そのため、どのタイミングで施設に入居する必要が出てくるのかは、担当のケアマネジャーに相談し、高齢者本人ともしっかりと話し合って決めることが大事でしょう。

まとめ

高齢者施設に対する意識を持っておくことは重要ですが、高齢者にとっては終の棲家になりますから、安易に決めないことが重要です。
家族にとっては安心して生活するために高齢者施設が必要だと考えるかもしれませんが、高齢者自身はそのように考えていないことも少なくありません。
「いつまでも自宅で暮らしたい」「先生(主治医)にお世話になりながら生活したい」「近所のデイサービスに通うのが楽しい」と、いろいろな想いがあるはずなのです。

そのため高齢者施設が必要になる前に、家族間で介護が必要になった場合にどうするのかをしっかり話し合って決めておくといいでしょう。また、入居のタイミングは、介護のプロであるケアマネジャーの力を借りることが適切です。施設の種類や目的をしっかりと把握していますから、ニーズに応じた施設を探し出すことができます。ケアマネジャーに相談しながら、目的や条件に応じた施設を探し出し、入居してからでも主体的な生活ができるよう工夫することが大事なのです。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※1 厚生労働省「介護医療院の概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kaigoiryoingaiyou.pdf

※2 厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group14.html

※3 厚生労働省「介護老人保険施設」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000174012.pdf

※4 厚生労働省「介護療養型医療施設及び介護医療院」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000174013.pdf

※5 厚生労働省「有料老人ホームの類型」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000083169.pdf

※6 厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅について」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish_sumai/

※7 厚生労働省「サービスにかかる利用料」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html

※8 厚生労働省「社会福祉法人等による利用者負担軽減制度について」
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kaigi/050907/dl/02.pdf

※9 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000157884.html

※10 厚生労働省「介護を受けながら暮らす高齢者向け住まいについて」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038005_1.pdf

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