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許せない!高齢者を狙う振り込め詐欺、その手口と予防策

kurashino

家族を装って電話をかけ、高齢者に多額の現金を振り込ませたり、送らせたりして騙し取る「振り込め詐欺」が横行しています。被害にあわないよう警察の呼びかけが続いていますが、手口が年々巧妙化し、被害件数、金額ともに高止まりの状態になっています。
なぜ被害が減らないのか、どうすれば未然に防げるのか、一緒に考えてみましょう。

被害総額は年間400億円

警察庁によると、平成30年中に起きた振り込め詐欺などの「特殊詐欺」は、認知件数が1万7,844件、被害総額はおよそ382.9億円となっています。過去の推移を見ても、件数、被害額ともに増加と減少を繰り返しており、沈静化する兆しは見られないといってよい状況です。

警察庁「振り込め詐欺対策HP」<認知件数・被害額の推移>を基に作図

これは何らかの形で警察に認知された件数ですから、被害にあっても警察に届け出ていないケースを含めると、件数、被害額ともにこの範囲では収まらないでしょう。
ここでいう「特殊詐欺」の定義として、警察庁のウェブサイトにはこう書かれています。

被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪(現金等を脅し取る恐喝及び隙を見てキャッシュカード等を窃取する窃盗を含む。)の総称

つまり特殊詐欺とは、かつては家族を装った「オレオレ詐欺」だけでなく別の人物を装った幅広い手段での振り込め詐欺をさしています。

振り込め詐欺の主な手口

振り込め詐欺の主な手口とはどういったものなのでしょう。主な手口別に認知件数と被害額を示したのが、下記の図です。

警察庁「振り込め詐欺対策HP」【手口別の認知件数】を基に作図

警察庁「振り込め詐欺対策HP」【手口別の被害額】を基に作図

「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」「還付金等詐欺」が主な手口ですが、このうち高齢者が騙されやすい傾向にあるのが、「オレオレ詐欺」です。ニュース等でよく見聞きしていますが、改めてどのような手口なのでしょう。

オレオレ詐欺は、「振り込め詐欺」の初期の手口と言えるでしょう。
「母さん、オレだよ、オレ」と、名前を名乗らずに電話をかけ、自分の息子だと誤認させた上で、「交通事故を起こしてしまい、お金が必要になった」「会社のお金を使ってしまい、弁償しなければならない」と嘘をつき、指定の口座に現金を振り込ませるというものです。

事故や事件を語ることで高齢者を動揺させ、冷静な判断ができないうちに現金を騙し取るもので、これについては「家族からの電話では合言葉を決めよう」と、苦肉の防止策が呼びかけられました。

実際、オレオレ詐欺の認知度は非常に高いといえます。しかし手口は巧妙化し、警察官や弁護士役の人間を登場させるという複数人による「劇場型」と呼ばれる犯行が増えるなど、公的機関や金融機関などをかたってウソを信じ込ませる手口が浸透しているため、被害件数は減らない状況にあります。また、背景には、どこかで「自分は大丈夫」と思っている人が多いという事実もあるようです。

警察庁「広報資料 オレオレ詐欺被害者等調査の概要について」資料1-2 被害に対する意識を基に作図

上のグラフからは、被害にあった人の9割以上が、「どちらかといえば自分は被害にあわないと思っていた」ことがわかります。まずはこうした意識を根底から変えていかなければなりません。

他には、電話で税務署や社会保険事務所を語り、「税金の還付があるが、手数料を先に支払わなければならない」という趣旨の話を持ちかけて現金を振り込ませる「還付金詐欺」をはじめ、「架空請求」「架空の投資を持ちかける」などの手口があります。また近年では、「振り込め詐欺の被害にあった人を救済する」というウソで現金を騙し取る手口まであります。
詐欺犯にとってみれば、手口は無限に作り出せる、と言えるのでしょう。

振り込め詐欺の被害を防ぐには

振り込め詐欺については、新しい手口が見つかるたびに呼びかけがされてきました。しかしその呼びかけの力が十分とは言えない現実があり、また手口はいくらでも巧妙化していくので、検挙もいたちごっこの状況でしょう。「家族間で合言葉」といったところで、今は家族以外を語る手口が多くありますから、これでは防ぎきれません。

そこで、家族間の決め事として、「相手が誰であっても、お金の話は電話では取り合わない」「お金の話が出たら、相手が誰であっても、必ず相手の連絡先を聞いてかけ直す」の2つを認識しておくことを提案します。

実際、金融機関であれ行政であれ、現金のやりとりが含まれる物事は「書類の郵送」がともないます。電話だけで話を進めることはありません。とは言え、この郵送物さえ偽装する手口も今では広がっています。そこで、3つ目の認識として、「お金の話は、必ず誰かと対面でする」ことを徹底する必要があります。大きな金額の場合は、必ず金融機関の窓口を利用すると決めておくことで、金融機関で詐欺を見抜いてくれる可能性が高まります。
そして、自分で直接出向くのが難しい場合は、必ず家族に相談することです。

もちろん被害にあう最大の原因は「自分は大丈夫だと思っている」という意識です。これは絶対になくさなくてはなりません。

被害にあってしまったら......

さまざまな対策方法が考えられますが、それでも100%防げるわけではありません。
万事気を付けていながらも、残念ながら被害にあってしまった場合、対応策のひとつとして「振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)」があります。
これは、振り込んでしまってからすぐに警察や金融機関に連絡をすれば、振り込んだ口座を凍結し、その口座の残高や被害額に応じて、被害額の全部または一部(被害回復分配金)の支払いを受けられる可能性があるというものです。被害者全員に適用されるとは限りませんが、被害額の全部、または一部が返ってくる可能性があります。
ただし、犯人が口座からお金を引き出してしまったあとでは、取り戻せるお金はほとんどなくなってしまいます。振り込んでしまった直後に気づいた場合は、この方法を取ることもできます。とはいえ、最も有効な手段は、やはり「振り込みをしない」ことです。

現代は、コンビニエンスストアのATMから24時間いつでも送金できてしまいます。こうした便利さが利用されている上、口座振り込みの手口の摘発が増えてくると、今度はレターパックなどで現金を「送付」させる手口も横行しています。さらに、ここ最近では東京オリンピックに関係するウソで現金を騙し取るなど、手口は無限とも言えますので、警戒がすぎることはありません。こうした話を家族間でこまめにし、常に意識しておくことも大切です。

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