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老後も続けられる仕事と定年後の働き方

kurashino

人生100年時代と言われるようになった昨今、定年を迎えた後の老後期間が長くなっています。この長い老後期間を心身ともに充実感を保ちながら暮らしていくためには、社会で活動を続けることが大切で、実際、老後も働くことを望む人が増えています。リタイア生活の中で、社会との関わりや時間の有効活用ができるほか、年金以外の収入を得られることなど、老後に仕事を続けることで得られるメリットは多々あります。
とはいえ、高齢者向けにはどんな仕事があり、自分はどんな仕事ができるのか、なんとなく心配に思う人は多いかもしれません。そこで、現在のシニア世代の人たちがどんな仕事をしているのかを確認してみましょう。そして、定年後にどんな仕事ができそうか考えるとともに、今から対策を取っていきましょう。

老後も働きたい人が増えている

定年退職日を指折り数え、悠々自適なリタイア生活を待ち望む――そんな定年の迎え方は少なくなってきているかもしれません。働き方改革や高齢者雇用確保措置など、政府の雇用に関するさまざまな政策の影響で、第2の人生の過ごし方は大きく変わりつつあります。実際に、老後もできるだけ長く働きたいと考える人は増え、昨今の労働現場は変わりつつあります。

旅行サイト「エアトリ」が行った調査によると、8割以上の人が60歳以降も働きたいと答えています。70歳以降も働く意欲を持っている人も3割以上におよびます。

旅行サイトエアトリ「終身雇用」に関するアンケート調査のデータを基に作図

将来の不安要素として、下記の項目のとおり、「老後の生活」「預貯金」「自身の健康」が上位にあがってもいますから、60歳以降も働き続けることで健康維持につなげつつ、そうして得られた収入を経済面の支えとしていくことが、安心した老後の暮らしへの期待になるのかもしれません。

自身を不安にさせているもの

 

40代

50代

60代

1位

老後の生活

老後の生活

老後の生活

2位

預貯金など

資産の状況

預貯金など

資産の状況

自身の健康状態

3位

自身の健康状態

家計のやりくり

預貯金など

資産の状況

日本労働組合総連合会(連合)「日本の社会と労働組合に関する調査 2017年4月」を基に作図

とはいえ、体力的に現役時代のような働き方は難しいと考える人もいるかもしれません。また、定年前までの労働が、家族を養うことや雇用者への責務であったと考える人も多いのではないでしょうか。だとしたら、定年後の仕事は、勤務時間や労働量を調整しながら無理のない範囲で働き続けていくのが良さそうです。

高齢者の労働現状

次に、総務省の「平成29年就業構造基本調査」を元に、現在のシニア世代の人たちの労働状況を確認してみましょう。下のグラフは、男性・女性それぞれにシニア層の年齢階級別の有業率を示したものです。

総務省 「平成29年就業構造基本調査」を基に作図

2013年に高年齢者雇用安定法が改正され、定年年齢の引き上げや継続雇用制度の導入など、企業は65歳までの安定した雇用を確保するための措置を取ることが必要となったのは、ご存じの人も多いでしょう。
その効果の表れなのか、2017年と2012年の数値を比較すると、60~64歳の有業率は男性で7.2%、女性は7.8%ほどポイントがアップしています。そして、65歳以上でも男女ともに有業率が伸びていることには注目したいところです。65~69歳では男性の半数以上、女性では3割以上の人が働いているのはこれから定年を迎える人たちにとって励みになりそうですね。

なお、ひとくちに働くといっても正規社員やアルバイト、自営などさまざまな就業形態があります。
次のグラフは性別および年齢別の雇用形態、雇用者数および非正規雇用者率(役員を除く)を示したものです。

内閣府「令和元年版高齢社会白書(全体版)」図1-2-1-15 性年齢別雇用形態別雇用者数及び非正規雇用者率(役員を除く)を基に作図

男性では64歳までは正規雇用が多い傾向にありますが、65歳以降はパートやアルバイトなどの非正規社員としての雇用が7割近くになっています。女性では定年年齢に関係なく、全体的にパートで働く人が多い傾向にあります。

現在の高齢者はどんな仕事をしている?

就業形態はもとより、現役シニアが実際にどんな仕事をしているのか、気になる人も多いと思います。そこで、総務省の「労働力調査(2018年度)」をもとに、「60~64歳」「65歳以上」の就業者が多い職種を、男女それぞれ5位までのランキングにしてみました。ご自身の定年後の仕事を検討するうえで参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

男性

女性

60~64歳

65歳以上

60~64歳

65歳以上

1位

建設業

建設業

社会保険・社会福祉・介護事業

農業

2位

卸売業

農業

飲食料品小売業

社会保険・社会福祉・介護事業

3位

その他事業
サービス業

その他事業
サービス業

医療業

その他事業
サービス業

4位

農業

卸売業

その他事業
サービス業

飲食店

5位

道路貨物運送業

不動産業

農業
飲食店

飲食料品小売業

総務省 「労働力調査(2018年度)」年齢階級,産業別就業者数を基に作表

男性では建設業、農業、警備などの事業サービス業、卸売業などが多いようです。女性では社会保険・福祉・介護業、小売業、飲食関係などが多くなっています。
なお、当調査データを見ていくと、60歳未満と60歳以上で就業者数に大きな違いが見られる職種があることに気づきます。たとえば農業や道路旅客運送業(タクシー運転手など)は、60歳未満に比べて60歳以上就業者のほうが多くなっています。逆に、金融・保険業では60歳以上では就業者数が低下しています。
農業のように後継者不足により、就労者が高齢化している産業もありますが、介護事業や小売業といったサービス業は年齢関係なく働き手を受け入れる傾向があり、高齢者でも働きやすい環境にあると言えそうです。一方、警備やタクシー運転手などは、これまでの経歴や資格が左右する部分が多分にあると考えられます。

早いうちから定年後の就労対策を

高年齢者雇用安定法の改正で「雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保する」措置があることは前述のとおりですが、現在、66歳以上も働ける体制を整えている企業は、全体の2~3割程度です。

厚生労働省 「平成30年 高年齢者の雇用状況」集計結果」66歳以上働ける制度のある企業の状況を基に作図

今後さらに増えていくことも十分考えられますが、現状では66歳以上の雇用に関しては大企業よりも中小企業のほうが積極的な傾向にあるようです。
この傾向を見る限りでは、現在、大企業に勤めている人や金融業など高齢者雇用が少ない職に就いている人などは、定年後のジョブチェンジが必要になることも想像できそうです。これまでの経験と知識を活かしつつ、新たな職に就けるよう、現役時代の今から準備をしておきましょう。

たとえば、50歳代から「副業」を始め、新たなスキルを身につけておくのもお勧めです。職種によって資格が必要な場合には、定年前に資格取得しておくことが、早く仕事を得られる方法のひとつかもしれません。また、就職先を見つけ、スムーズに再就職できるよう人脈を広げておくことも大切です。
現役時代は○○会社の何某といった社名や役職の後ろ盾がありますが、定年退職後にはそれらは通用しなくなるのが通常です。個人的なコネを活かせるよう積極的に人脈作りに取り組んでおくと良いでしょう。

最近ではシニア世代向けの人材紹介会社も増えてきています。定年を機に独立起業を考える方もいると思いますが、安定した仕事を得るまでは、満足のいく収入がない可能性もあります。軌道に乗るまでは人材紹介会社に登録するなど、他の働き方を用意することも必要になるかもしれません。
そして何より、定年前から健康管理に気をつけておくことが大切です。40年にわたり家族を支え、会社にも貢献し続けてきたのですから、定年後の仕事はようやく迎えた老後生活の充実のため、自分自身のための仕事を始めたいですよね。できるだけ長く働き続けられるよう健康管理の習慣づけもしておきたいですね。

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