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夫婦の幸福度はコミュニケーションで決まる! 老後も夫婦円満でいるためには

kurashino

「夫婦は二世」という言葉をご存じでしょうか。
「夫婦の因縁は現世だけでなく来世にもつながる」という意味です。
この広い世界でまるで奇跡のように出会い、ともに人生を歩んで行く――夫婦はたしかに特別な関係ですね。

内閣府・経済社会総合研究所の調査によると、これまでの実証的研究から、「結婚や配偶者の存在は幸福度を引き上げる」ことがわかっています (※1)。また、夫婦のコミュニケーションは夫婦関係の満足度を高めるという研究もあり、夫の月収が大きくダウンしたとしても、夫婦間の会話が増えれば、妻はいまの満足度を維持できると言われています。

夫婦の日常的なコミュニケーションは、これほどに2人の関係性に大きな影響を与えるのですね。
では、夫婦の幸福度を高めるためには、どのようなコミュニケーションを図ったらいいのでしょうか。

私たちの幸福度と夫婦のコミュニケーション

コミュニケーションについてお話しする前に、まず、幸福度について考えてみたいと思います。

1.家族・夫婦と幸福度

わたしたちに幸福感をもたらしているものは何でしょうか。
以下は、アンケート回答者が幸福度を判断する際に重視すると答えた項目とその割合を表しています。

内閣府「幸福度に関する研究会報告 ―幸福度指標試案―平成23 年12月5日」P8「図表 3 幸福度を判断する際に重視する項目」を基に作図

このグラフでは、一番に挙がった「健康」と同じくらい、「家族」を重視する人の多いことがわかります。幸福感と家族には深い関係があるのですね。
では、家庭とはどのような場所なのでしょうか。以下のグラフを見てみましょう。

内閣府政府広報室「国民生活に関する世論調査の概要(平成30年8月)」 p.22を基に作図

このグラフから、家庭は団らんややすらぎの場であり、家族の絆や夫婦の愛情をはぐくむ場だと考えている人が多いことがわかります。

2.コミュニケーションとは

ここからコミュニケーションについて考えていきましょう。そもそもコミュニケーションとは、どのようなものなのでしょうか。

以前は、コミュニケーションとは、「言葉が伝わるプロセス」だと考えられていました。そして、そのような考え方では、言葉そのものに固定的な意味があり、話し手が伝えたいと思った意味は、話し手が使った言葉どおりに相手に理解されると捉えられていました。しかし、現在は、コミュニケーションとは「人々が自分の心の中で意味を創り上げ、意味づけするプロセス」だと考えられています。言葉に固定的な意味があるのではなく、言葉がきっかけになって、それぞれの人が自分なりの意味を創り上げるのだという考えです。そして、対人コミュニケーションとは、「自分が想定した考えや意味を、相手の心の中にも同じように創り上げてもらうために、言葉や表情、その他の手段を使って、さまざまな努力をするプロセス」だと捉えられています。

3.夫婦のコミュニケーションの特徴

では、いよいよ夫婦のコミュニケーションについてです。ここでは、「性差」と「ライフステージによる変化」がキーワードです。
下のグラフをご覧ください。こちらは、「性とライフステージによる相手への自己開示」の割合を表しています。
ここでいう自己開示とは、最近うれしかったことや楽しかったこと、将来のこと、子どもや親のことなど自分のプライバシーを相手に話すことを指します。

伊藤裕子 ・相良順子 ・池田政子「夫婦のコミュニケーションが関係満足度に及ぼす影響 ―自己開示を中心に―」(文京学院大学人間学部研究紀要 Vol.9, No.1, pp.1-15) p.9 「図 2 性とライフステージによる各対象への自己開示」を基に作図

この図をみると、自己開示している割合が一番高い相手は、妻夫ともに「配偶者」ですが、開示する人の割合は夫よりも妻のほうが高いことがわかりますね。そして、子育て期を経た中年期では、若い時に比べて男女とも自己開示の割合が低下することがみてとれます。

幸福度を高めるコミュニケーションとは

では、幸福度を高めるコミュニケーションとは、どのようなものでしょうか。

1.言葉はその人の価値観そのもの

先ほどお話ししたように、言葉には固定的な意味があるわけではありません。同じ言葉に接しても、それぞれの人がそれぞれの解釈をし、異なった意味づけをします。つまり、わたしたちは皆、異なる"意味世界"に住んでいるのです。そのため、本人が無意識であったとしても、その人が話す言葉には、その人の価値観が必ず反映されています。

たとえば、「ラグビーって面白いね」という人がいても、その人はラグビーについて話しているわけではありません。ラグビーが好きだというその人の価値観、つまり自分自身について語っているのです。ですから、あなたに対して、もしパートナーが批判的なことを言ったとしても、それはパートナーがあなたを攻撃しているわけではなく、あくまでそう思う「自分自身」の価値観を語っているにすぎないのだと解釈することができます。

相手の考え方を変えるのは至難の業です。でも、自分の捉え方を変えれば、そんな場面と遭遇したときでも感情的にならずに済みますね。そして、あなた自身の言葉にも、あなたの価値観が必ず反映されているのだと意識することも大切です。

2.心が傷つく一言を言われたら

夫婦は近い存在だけに、つい遠慮がなくなって、不用意に相手を傷つけたり傷つけられたりすることがあります。もし、パートナーから心が傷つく一言を言われたら、あなたはどうしますか。そんなときには、対照的な2つの方法があります。

ひとつは、思い切って積極的にコミュニケーションを図るというやり方です。「今の言葉はどういう意味で言ったの?」「なぜ、そう思ったの?」と、あくまで冷静に理由を聞いてみるのです。それで相手の真意がわかれば、相手に悪意がなかったのだと誤解が解けることもあるでしょう。もしも自分と違う考え方であったとしても、相手を理解することができるかもしれません。

もうひとつの方法は、聞き流すというやり方です。これは、問題を回避するだけなので、本当の意味での解決にはつながらないかもしれませんが、エネルギーの温存にはなりますね。
あなたはどちらの方法を選びますか。

3.意見が対立したときには

夫婦だからといって、いつも意見が同じだとはかぎりません。パートナーがあなたとは違う意見を言ったとき、どうしたらいいでしょう。
神科医で国際医療福祉大学教授の和田秀樹先生は、その著書『感情的にならない本』の中で、そんなときの秘訣を次のように説いています。

「それもそうだね』とか、「なるほどなあ」「『そういう考え方もあるね』といった柔らかい受け止め方をします。
自分の意見はあくまで1つの見方。他人の意見もまた1つの見方。
和田秀樹, 『感情的にならない本』 (第11版),新講社, 2014,p47-48.

たしかに、自分の意見を認められれば、誰でも少し気分がよくなりますよね。穏やかな気持ちになって、余裕が生まれ、かえってあなたの言い分にも耳を傾けてくれるかもしれません。

4.毎日が変わるひと言

わたしの夫婦仲の良い友だちから聞いたエピソードを紹介しましょう。
彼女のパートナーは、毎晩、同じことを聞くのだそうです。

「今日、何かいいことあった?」

35年間、毎晩、欠かさずです! 「今日は何を話そうか」と考えて毎日過ごしているうちに、楽しかったこと、嬉しかったこと、感動したことだけに意識が向くようになったのだと、彼女は言います。
我が家でもさっそく、このひと言を取り入れてみました。すると、おしゃべりが弾むのはもちろんのこと、仕事などのストレスも解消でき、期待以上の効用がありました。ぜひ試してみてください。

一番大切なものは、言葉? トピック? それとも・・・?

これまでみてきたように、言葉はコミュニケーション上、大切な要素です。
では、言葉が一番、大切なのでしょうか。

1.非言語コミュニケーションの重要性

実は、一番大切なのは言葉ではないのです。新潟大学の高木幸子教授は、以下のように話します。

我々が対面対話によって伝え合うものは、言語コミュニケーションよりも非言語コミュニケーションによる方が大きいと考えることができる

CORE HP 高木幸子「コミュニケーションにおける表情および身体動作の役割」 p.26

これは、現在、通説になっています。
この非言語コミュニケーションにはさまざまなものがあります。しぐさや表情、アイコンタクト、声の調子や沈黙、身体の接触、相手との距離や位置関係、服装などなどです。このうち特に大切なのは、笑顔とアイコンタクト、それに相づちです。どれも言葉以上に相手への共感を示すことができるからです。非言語コミュニケーションは楽しい会話に欠かせないアイテムなのです。

2.ポジティブな態度とネガティブな態度

夫婦間のコミュニケーションにとって、さらに重要なことがあります。それは、態度です。
以下は、夫婦がコミュニケーションを図る際のさまざまな態度の類型を示しています。

出典:粕井みづほ「夫婦間コミュニケーションの特徴と結婚年数による違い」(日本家政学会誌 Vol. 65 2014年,No. 2 50- 56)p.52 「Table 1.コミュニケーション態度の因子分析結果(主因子法・プロマックス回転)

因子負荷量にある、「共感・接近」「威圧」「無視」の3つは、調査協力者の評定値をもとに抽出されたものです。夫と妻は、これらの態度をどう認識しているでしょうか。
調査の結果、22歳から88歳という幅広い年齢で、「共感・ 接近」というポジティブな態度は、妻は「夫よりも自分のほうが取っている」と強く思っており、夫もまた「妻のほうが取っている」と感じていることがわかりました。
一方、「威圧」「無視」というネガティブな態度は、夫は「妻よりも自分のほうが取っている」と強く思っており、妻もまた「夫のほうがそういう態度を取っている」と感じていることがわかっています(※2)。

また、結婚年数が30~61年の夫婦では、「妻は淡々と接しているのに、夫は良い態度で接してくれている、と感じている」という傾向があります。対して夫は「自分も妻に対して良い態度で接している」と思っていますが、妻は「夫の態度は良くないと思っている」という傾向もみられます。このように、共に結婚生活を送りながらも、夫婦のコミュニケーション態度については、妻と夫で認識が違うのです。(※2)

しかし、思いあって夫婦になった2人ですから、感謝の気持ちや相手をいつくしみ思いやる気持ちも持っているはずです。せっかくですから、それを態度で示してみてはいかがでしょう。
「威圧」「無視」につながる態度は封印し、その代わりに、「共感・接近」につながる行動から自分にできそうなことをきょうから実際にやってみませんか。きっと夫婦円満につながるはずです。

夫婦の数だけあるコミュニケーション・スタイル、でも目的はたったひとつだけ!

最後に少しシビアな研究結果をご紹介したいと思います。

二者の結びつきを作っていくには、両者が参加 しなければならないが、関係を壊すには一方の行為や決定だけでいい。
大坊郁夫, 『親密な関係を映す対人コミュニケーション』, 大阪大学OUKA, 2004,p4.

ここでいう「二者」に、「夫婦」を当てはめてみると分かりやすいですよね。つまり、夫婦の間でどちらか一方だけが幸せなどということはありません。以前と比べていまの状態がよくないと、一方あるいは両方が感じたときには関係の崩壊が始まっていることを示唆しています。

現在、日本に暮らしている夫婦は3,100万組あまり。(※3)
それぞれの夫婦にはそれぞれのコミュニケーション・スタイルがあることでしょう。スリリングな会話を楽しむ夫婦も穏やかに微笑みを交わす夫婦もいるはずです。丁々発止の議論が止まらない夫婦もいるかもしれません。それぞれの夫婦にはそれぞれのコミュニケーション・スタイルがあっていいのです。
でも、目的はたったひとつだけ。それは、コミュニケーションによってお互いの信頼感や幸福度を高め合い、残りの人生を心豊かに送ることではないでしょうか。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※1 内閣府 社会経済研究所HP「幸福度研究について」
http://www.esri.go.jp/jp/prj/current_research/shakai_shihyo/about/about.html

※2 科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)HP(2014)粕井みづほ「夫婦間コミュニケーションの特徴と結婚年数による違い」(日本家政学会誌 Vol. 65 No. 250- 56) pp.3-4, p.6
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/65/2/65_50/_pdf

※3 総務省統計局HP「平成27年国勢調査最終報告書 日本の人口・世帯 第1部結果の解説 第1章人口等 P27
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/final/pdf/01-01.pdf

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