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別居する?離婚する?不仲の両親が老後を過ごすには

kurashino

結婚して数十年経ってから離婚する、いわゆる「熟年離婚」が話題になっています。
子どもの自立、一緒にいることに疲れた、あるいはお互いの自由を尊重するという名目をもとにした「卒婚」と呼ばれる現象、相手の不貞やハラスメントなど理由はさまざまです。
そして、離婚とまで行かなくとも、別居状態になることもあります。

もしも高齢になった両親が別居するとなったら、子どもにとってはそれぞれの生活に関する心配事を避けては通れません。万が一の事態に向け、どのような備えができるのでしょう。

熟年離婚は増加傾向

高齢になってからの離婚率は、増加傾向にあります。

性・年齢別有配偶者に対する離婚率(%)

年齢

1980年

1990年

2000年

2010年

2015年

60~64歳

0.41%

0.53%

1.34%

1.93%

1.84%

65~70歳

0.31%

0.31%

0.72%

1.09%

1.13%

70歳以上

0.22%

0.18%

0.30%

0.40%

0.46%

年齢

1980年

1990年

2000年

2010年

2015年

60~64歳

0.27%

0.35%

0.92%

1.13%

1.03%

65~70歳

0.16%

0.21%

0.51%

0.73%

0.73%

70歳以上

0.10%

0.11%

0.21%

0.28%

0.34%

国立社会保障・人口問題研究所「-人口統計資料集(2019)-表6-11 性,年齢(5歳階級)別有配偶者に対する離婚率:1930~2015年」を加工して作成

ひとつには、世間的に離婚を容認する雰囲気が広がっていることが背景にあります。また、年金分割制度が始まり、経済的な不安が軽減したことも離婚に対する抵抗感が薄くなっている理由と言えるでしょう。

熟年の親の気持ち、ストレスの理由

「『いい夫婦の日』をすすめる会」が行ったアンケート調査(※1)によると、「夫婦円満のために大切なこと」として、同居30年以上の夫婦の多くが以下の項目を挙げています。

夫婦円満のために大切なこと(複数回答可)

  • 程よい距離感(干渉しすぎない):63.0%
  • 話をする、聞く:56.5%
  • 信頼する:46.3%
  • 二人で出かける/散歩する:41.2%
  • 我慢しない(不満をためすぎない):33.3%

なかでも「程よい距離感」は別の世代と比べて高く、また、60代女性の72%が「必要」と答えています。熟年離婚の原因に「定年後の夫が一日中家にいて、何かと口うるさい」といった妻の不満がある話はよく耳にしますが、まさにそれを連想させる結果とも言えるでしょう。

一方、「二人で出かける/散歩する」と答えたのは60代男性で49.0%、60代女性で32.0%と開きが見られました。「一緒に何かをする時間」を、夫のほうがより強く求めているものの、どうやら夫婦間には若干の温度差があるようです。また、「話をする、聞く」ことは、60代男性の61.0%、60代女性の53.0%が必要と答えています。

夫としては妻と一緒の時間を過ごしたい傾向があるものの、妻としては"適度に自分の時間を持ち、適度に夫と会話する"というバランスを求めているようです。この認識の違いが蓄積し、限界を超えた時に「別居」、さらには「離婚」の選択をしていると考えられます。

また、高齢になると、妻が夫に不満を抱く、というケースのほうが多いようです。

明治安田生命保険相互会社 「『いい夫婦の日』に関するアンケート調査 調査報告書(2016年11月16日)」のデータを基に作図

「生まれ変わっても、もう一度同じ相手と結婚したいですか」の質問に対し、「結婚する」と答えている割合は女性の方が低く、60代、70代では「結婚する」と答えた女性は、男性の6割程度に留まっています。
妻の不満解消のためにも、別々に過ごす時間と一緒に過ごす時間を明確に分けるなど、どこかで「落としどころ」を見つけられると良いですね。そうやって時間と空間を隔てた生活を行ってみた結果、一度は別居したものの結局元に戻る、というケースもあるようです。

離婚時の年金分割制度

別居してみたものの溝が埋まることなく、「離婚」を決断した場合、お金の面ではどうなるでしょうか。
大きなポイントは「年金」「財産分与」です。
年金分割制度とは、夫婦が離婚した時に、どちらかが請求すれば、それまでの厚生年金・共済年金記録を夫婦で分割できるというものです。ただ、これは純粋に「半分ずつ」というわけではありません。当事者同士の合意、あるいは裁判手続きで分割の割合(按分割合)が定められた場合はそれにしたがいますが、それでも解決しない場合は、裁判所がこの按分割合を決定します。

また、受給を受けるにあたってはいくつか注意点があります。たとえば、夫が会社員、妻が専業主婦の場合は、以下のようなものです。

  • 婚姻中に厚生年金または共済年金への加入があることが前提です。
  • 分割対象は「婚姻期間中の厚生年金・共済年金」であることです。夫が結婚前に納めていた厚生年金分は、妻への分割対象にはなりません。
  • 受給開始は、夫婦で年齢によって異なります。夫が年上の場合、夫が対象年齢(2019年10月時点では65歳)になって厚生年金を受け取り始めたとしても、妻は本人が65歳になるまでは受け取ることはできません。夫が年下の場合も同じです。
  • 請求期限があります。原則として、「離婚した翌日から起算して2年以内」です。
  • 夫が亡くなったからといって、妻が年金を受け取れなくなることはありません。

財産分与と離婚後の両親の生活

次に財産分与ですが、基本的には「2分の1ずつ」という判断がくだされます。
妻が専業主婦であっても、「妻が育児や家事をすることによって、共に築いた財産である」という考え方です。また、預金や不動産がどちらかの名義になっている場合でも、婚姻期間中のものであれば、財産分与の対象です。そして、片方の明らかな浪費がない限り、住宅や自動車のローンといった「負債」も分与されます。

ちなみに、財産分与が2分の1ずつにならないケースもあります。
どちらかの努力や技術などによる収入が極端に多い場合(大企業の取締役の地位にいる、医師で開業している、など)は、資産形成にあたっての夫婦の「寄与度」が異なると判断されます。
片方に不貞などの明らかな原因があった場合には、慰謝料の請求ができます。

ただ、金銭面は気楽に考えすぎない方が得策です。
基本的に、ひとり暮らしの方が、同居に比べて生活コストは割高になります。また、賃貸に転居した場合には家賃負担が生じますので、よほどの資産的余裕がないと、その後の生活は楽なものとは言えないでしょう。

両親の別居や離婚に関する相談先

実際に離婚するとなると、本人同士が合意していれば話は早いのですが、そうもいかない場合は裁判手続きを踏むことになります。
離婚を避けられるならそれが一番でしょう。とはいえ、両親の老後をストレスばかりのものにしてしまうのも、また考えものです。
離婚に詳しい弁護士事務所が、無料相談窓口を設けていることがありますので、感情的、短絡的に決めず、現実に即して考えるのが良いでしょう。特にお金の話は煩雑にもなりがちですから、年金や財産分与、さらに離婚後の親を自分の家庭の扶養に入れるかどうかまでを決めておかなければなりません。
専門家に確認したうえで進めなければ、後悔先に立たず、ということになりかねません。

人生100年の時代です。両親に楽しい老後を過ごしてもらうためにも人生の大きな決断は慎重にくだすように、本人だけでなく周囲を含めてよく考えるようにしましょう。

※「令和2年度平均年収と学歴調査

※1 「いい夫婦の日」をすすめる会「『いい夫婦の日』夫婦に関するアンケート調査 調査報告書」
https://www.fufu1122.com/event/questionnaire/questionnaire2016.pdf

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