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【医師が解説】肌年齢とは? 若さを保つために必要なこと

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宣伝でよく目にする「肌年齢」。肌の若さの目安といったイメージがありますが、どのようなもので、どのような対策をすればよいのでしょうか。

今回は、肌年齢の話題を中心に肌の老化に影響するもの、皮膚のアンチエイジング対策といった気になる内容を解説します。
肌は見た目の印象にかかわる部分です。肌を若く保ち印象アップにつなげましょう。

肌年齢とは

肌年齢とは、肌の状態がどの年齢の水準にあるかを数値化したものです。化粧品コーナーなどで肌に直接機械を当てて肌年齢をチェックする様子を見たことはありませんか? 肌年齢測定器で調べることができるのは、主に下記の項目です。

  • 脂分
  • 水分
  • 角質量
  • 弾力
  • キメ
  • 毛穴の様子
  • 色素沈着

多くの測定器にはカメラがついており、肌のくすみを撮影することができます。また、肌に微弱な電気を流したり、超音波を当てたりすることで、肌の水分量や弾力を測定できます。集めたデータを同世代の人のデータと比べることで、肌年齢が高い・低いと評価します。
最近では自撮りをすることで、簡単に肌年齢を調べられるスマホアプリもあり、手軽に知ることができるようになっています。

なお、医師である筆者が医学論文や学会発表を調べた限り、肌年齢を決めるための医学的な基準には行き当たりませんでした。同時に、多くの論文では肌年齢という言葉を使わずに「皮膚のアンチエイジング」「スキンエイジング」という言葉を使っています。そのため、肌年齢とは医学用語ではなく、あくまでも美容目的で使用されている言葉であることは念頭に置いておきましょう。

肌の老化=皮膚の老化

大人の場合、皮膚の面積は1.6平方メートルほど。これは畳1枚分の大きさであり、からだのなかでもっとも大きな臓器です。外の環境に直接さらされているため、身のまわりの影響を受けやすい部分であるほか、自分の目を通してケアの効果を実感しやすい場所といえます。

皮膚の若さのピークは20歳前後で、25歳ごろから少しずつ老化していきます。肌の老化に影響するのは、その人の加齢による内因性老化と、環境による外因性老化です。
「内在性老化」は人間が年を取っていくにしたがって必ず起こることであり、避けることはできません。一方、「外因性老化」は周りの環境が皮膚に与えるダメージのことで、ある程度は対策が可能です(※1)。 一説には、皮膚老化の70%程度は外因性老化が原因とされます。(※2)

内因性老化と乾燥

内因性の皮膚老化のひとつは、皮膚の乾燥です。皮膚の一番外側、表皮の角質層は細胞が10層ほど積み重なっており、水分を保持したり侵入物からからだ守ったりしています。
角質層は洗顔や入浴の際や衣服などに付着する「垢」として自然にはがれ落ち、3~4週間ごとに新しい細胞と入れ替わります。この角質層ですが、年を取ると厚くなりやすく、形も崩れやすくなっています。その結果、皮膚に水分を保持することが難しくなります。これによって引き起こされるのが乾燥です。日本人は入浴の際、必要以上に皮膚をこすって角質層をはがす傾向があるので、注意が必要です。
皮膚から分泌される皮脂も、皮膚の乾燥には重要です。若いころは脂漏性皮膚炎やニキビを起こすほど皮脂が分泌されますが、思春期以降は徐々に皮脂の分泌量が減少します。女性は閉経後に女性ホルモンが急激に減少すると、皮脂の分泌量がいっそう減り、特に肌の乾燥が進みます。

内因性老化と皮膚の菲薄化

もうひとつの内因性の皮膚老化は、皮膚が薄くなる現象、「菲薄化(ひはくか)」です。
表皮の下には真皮と皮下組織があります。真皮と皮下組織の役割は肌の弾力とハリを保つことです。真皮にはコラーゲンと呼ばれる膠原線維(こうげんせんい)が大量に含まれ真皮を丈夫にするほか、エラスチンを中心とした弾性繊維や、細胞と細胞の間を埋める細胞外マトリックス、血管などがコラーゲンを支えています。
若い時はコラーゲンやエラスチンが多いので肌にハリがありますが、年齢を重ねるごとにコラーゲンやエラスチンが減少して皮膚が薄くなります。こうして肌の弾力性が失われることがシワやたるみの原因です。

外因性老化と光老化

外因性老化にはタバコ、放射線、ストレス、アルコール摂取、栄養不足、過食、環境汚染など、さまざまな原因が影響しますが、最大の原因は紫外線、光老化です。光老化は外因性老化の80%ほどの原因を占めるともいわれています。(※3)
人間の皮膚は生まれた時から紫外線にさらされています。紫外線は皮膚の細胞にダメージを与え、細胞中のDNAが傷つきます。DNAの傷が多くなると細胞がうまく修復されずシミの原因になるほか、慢性的な紫外線によるダメージは皮膚がんの原因にもなっています。紫外線を長期間浴び続けることの影響は、シミやがんだけではありません。紫外線によって皮膚のコラーゲンやエラスチンが変化すると皮膚の弾力性が無くなるほか、厚くなった皮膚は毛穴をふさぎ皮脂の分泌も遮るため、肌の保湿力は減っていきます。

肌のアンチエイジングに必要なこと

肌年齢を若いまま保つ、つまり皮膚の老化を防ぐための対策は何でしょうか。内因性老化対策には「保湿」、外因性老化対策には「紫外線対策」が特に重要です。(※4、※5)

保湿とスキンケア

皮膚の加齢によって起こる乾燥には、保湿が重要です。保湿剤は皮膚に水分を直接補給するモイスチャライザー効果と、皮膚の表面を保護して水分の蒸発を防ぐエモリエント効果を分けて考えます。モイスチャライザーはヘパリン類似物質、尿素、セラミドなど、エモリエントはワセリンや亜鉛華軟膏などが代表的なものです。
たとえば、入浴や洗顔後に化粧水や美容液をつけて皮膚に水分を補給し、その後クリームや乳液を塗布します。必要に応じてワセリンなどで保湿を加えるのがよいでしょう。ワセリンはエモリエント効果が非常に高い保湿剤ですが、主成分が油であるためにべたつき伸びが悪いので、代わりにクリームを1日数回塗ることも効果があります。保湿剤の量は皮膚が光沢を帯びる程度、もしくはティッシュがつく程度であれば適正量です。
洗顔や入浴は汚れと一緒に皮脂や角質層まで落としてしまうので、1日1回程度にしましょう。十分に泡立てた洗浄剤は、肌への摩擦が少なくなって泡切れも良くなるほか、洗浄力も高まります。

紫外線対策

紫外線対策は外因性老化の重要なポイントです。光老化の予防にはサンスクリーン剤、いわゆる日焼け止めを使用します。

地表に到達する紫外線(UV)は、UVAとUVBです。UVAは皮膚の深い部分まで到達しシワやたるみの原因に、UVBは皮膚表面で日焼けを起こしシミや炎症の原因となります。光老化にかかわる紫外線はUVAです。
サンスクリーン剤のUVBに対する防御効果はSPF(Sun Protection Factor)で表され、SPF50以上の製品は真夏でも日焼け予防効果が期待できます。一方、UVAに対する防御効果はPA(Protection Grade of UVA)として表され、+~+++の3段階が設定されています。
光老化に対する効果はPA+の製品から期待できますが、日光に当たる場所・時間・季節によって使い分け、帰宅後は十分洗い流してください。
皮膚の光老化は乳幼児期から始まります。口に入っても害のない、水で落としやすいサンスクリーン剤を選び、若いころから光老化を予防しましょう。とはいえ、紫外線を避けすぎてしまうと、骨を作るために必要なビタミンDの不足が懸念されます。そのため、ビタミンDを含む、きのこ類、魚介類、卵類、乳類を積極的に摂取するようにしましょう。

皮膚の老化は予防可能、保湿と紫外線対策で肌年齢を若いままに保ちましょう

皮膚の老化、いわゆる肌年齢は進行を遅らせることができます。そのどれもが日常生活のなかでの積み重ねです。日々の暮らしの中から対策を行い、いつまでもハリと潤いのある肌でいたいものです。

【参照】

※1 日本抗加齢医学会:アンチエイジング医学の基礎と臨床 第3版, P148-151, P396-397

※2 山田秀和. 皮膚老化の評価. Functional Food 2(4): 2009. P369

※3 Puizina-Ivić N. Skin aging. Acta Dermatovenerol Alp Pannonica Adriat. 2008 Jun;17(2):47-54

※4 二ッ橋未来. スキンケア用品の選択とケア方法.泌尿器Care&Cure Uro-Lo 26(4): 2021. P580-581

※5 日本皮膚科学会ホームページ:皮膚科 Q&A 日焼け

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